予防接種を受けることで、お子様たちを病気から未然に守ることができます。お子様たちが受けられる予防接種はさまざまで、予防接種回数が多いものもあり、保護者にとってはどのようにお子様に受けさせればよいか悩みの種であるかもしれません。当院では、大切なお子様を病気から守るために、必要な免疫をつけるためのご相談を承っています。いつでもお気軽にお尋ねください。
私たちの生活圏には、とても多くの感染症が存在します。なかには、命にかかわる重大な病気も。とくに、小さなお子様たちは、からだの細胞が発達段階にあり、いろいろな病気に対応する免疫がまだつくられていません。しかし、予防接種を受けることで未然に防げる病気がたくさんあるのです。お子様たちの接種できるワクチンは、早ければ生後2ヶ月から受けられるものもあります。お子様たちに必要な免疫を着実につけるために、多様な予防接種の実施を一緒に考えていきましょう。
当院では、お子様にできる限り適切な時期に予防接種を受けて頂くために、ワクチンの同時接種を行っています。同時接種は接種回数が少なくて済むため、各ワクチンの接種率を高められます。
4種混合ワクチンは、ジフテリア、百日せき、破傷風及びポリオ(急性灰白髄炎)を予防するワクチンです。ワクチン接種によりこれらの抗体を高めることができます。
接種部分が腫れてしこりができることがあります。また、まれにアナフィラキシーや皮膚下にあざができたり、歯茎の出血を起こす血小板減少性紫斑病になることもあるとされています。
生後3ヵ月から接種しはじめます。その後、3~8週間隔で3回、3回目の約1年後4回目を接種します。
2種混合ワクチンは、ジフテリア及び破傷風を予防するワクチンです。ワクチン接種によりこれらの抗体を高めることができます。
接種部分が腫れて、しこりができることがあります。まれに、発熱することもありますが、通常は、数日から1か月ほどで収まります。
4種混合ワクチンを接種した後、2種混合ワクチンを11歳〜13歳までに接種します。
麻疹とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。発熱や咳、鼻水など風邪のような症状があり、その後発疹を伴います。免疫を持っていない人とほぼ発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続するとされています。
接種部分が腫れて赤くなり、発熱や発疹、鼻水などの症状が現れることもあります。まあた、まれにアナフィラキシーや血小板減少性紫斑病になることもあるとされています。
1歳で1回、小学校入学前にさらに1回麻疹の予防接種を行うと、発症を予防できる可能性が高まります。
風疹とは、発熱や発疹、リンパ節の腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。
接種部分が腫れて赤くなることもあり、発熱や発疹、鼻水などの症状が現れることもあります。また、まれにアナフィラキシーや血小板減少性紫斑病になることもあるとされています。
1歳で1回、接種できます。小学校入学前にさらに1回を行うと、発症を予防できる可能性が高まります。
主にコガタアカイエカが媒介し、急性脳炎を引き起こします。発症すると、数日間の高熱や頭痛、嘔吐、めまい、腹痛、下痢を伴うことも多いとされています。
接種部分が腫れて、赤くなることがあります。
生後6ヵ月から接種できます。その後、3歳、4歳で接種後、さらに第2期として9歳か〜13歳未満で1回接種します。
インフルエンザとは、主に冬に流行する病気で、3日前後潜伏した後に、高熱、頭痛、腹痛などの症状が現れます。原因となるウイルスは3種類あり、年々少しずつ形や性質が変わるため、予防が難しい病気でもあります。お子様の場合、特に肺炎や脳炎などを引き起こしやすいとされており、最悪の場合、脳障害や死亡に至るケースもあります。
副作用はほとんどありませんが、ごくまれにじんましんや呼吸困難などのアレルギー症状が現れる場合があります。卵アレルギーをお持ちの方は、事前にご相談ください。
生後6ヶ月目以上から13歳未満の小さなお子様の場合、1回の予防接種だけでは十分な免疫ができません。そのため当院では、2回接種されることを推奨しています。予防接種を受ける時期の目安は、10月頃に1回目、3歳未満であれば2~4週間後、それ以上の年齢のお子様は1~4週間後に2回目を接種します。
おたふくかぜとは、耳の下(耳下腺)が腫れて痛みが生じる病気です。左右の耳下腺が腫れることが多いのですが、片方だけ腫れることもあります。通常、腫れは1週間から10日程度続き、最初の3~4日間は熱をともなうこともあります。幼児から小学校低学年の頃にかかりやすい病気とされ、重症になると様々な合併症を引き起こすほか、脳炎、難聴、無菌性髄膜炎の原因となることもあります。
まれに2~3週間後、耳下腺が腫れたり、発熱を起こしたりすることがあります。ただし、これらの症状は自然に収まります。また、重症にはなりにくいものの、数千人に1人の割合で無菌性髄膜炎になるケースもあります。
おたふくかぜの予防接種は1歳から受けて頂くことができるので、できるだけ早く受けさせてあげるようにしてください。また、免疫をしっかりと付けるために、3~5年後に再度接種されることを推奨しています。
水ぼうそうとは、水痘・帯状発疹ウイルス(VZV)の飛沫および接触感染により発症する病気です。発熱のほか、全身に水をもった赤い発疹が現れます。また、免疫力が低下するとウイルスが活性化し、帯状発疹を起こす場合もあります。通常、発疹は2~3日程度続き、その後乾いて黒いかさぶたになります。水ぼうそうは感染力が強いため、予防接種を受けなければ90%以上の人がお子様のうちに感染します。
副作用はほとんどありませんが、予防接種を1回しか受けていない場合、約20~50%の方が数年以内に発症するとされています。ただし、接種していない時よりも症状は軽度です。こうしたことから当院では、免疫をしっかりと付けるために、1回目の接種から2~5年後に再度接種されることを推奨しています。
水ぼうそうの予防接種は1歳から受けて頂くことができるので、できるだけ早く受けさせてあげるようにしてください。また、免疫をしっかりと付けるために、2~5年後に再度接種されることを推奨しています。おたふくかぜのワクチンと同時に接種することも可能です。
B型肺炎のウイルスは感染力が強く、輸血感染、性感染などのほか、母子感染することもあります。体内に入り込むと肺炎を起こし、長期的に肝臓に住みついて慢性化する場合もあります。年齢を重ねると抗体が付きにくくなりますので、できるだけ若いうちに接種されることをおすすめします。
接種部分の痛み、軽い発熱、または吐き気やめまいなどの風邪に近い症状が現れることがあります。しかし、いずれの症状も軽度です。
B型肺炎ワクチンは、生後2ヶ月目から受けて頂くことができます。初回接種から4週間後に2回目、その後20~24週間後に3回目の接種を行います。妊娠中の検査でB型肺炎の反応が出た方も、接種して頂くことができます。
小児の場合と同様に、肺炎球菌が喉などから入り込む感染症です。肺炎、中耳炎などを引き起こす場合があります。日本人の死因の4番目は肺炎であり、高齢者の細菌性肺炎の多くは肺炎球菌が原因となって引き起こされています。抗菌薬が効かない耐性菌が多いため、治療が難しいとされていますので、予防接種を受けてきちんと予防するようにしてください。
接種部分が赤くなったり、局部反応を起こしたりする場合があります。
成人用肺炎球菌ワクチンは、2回の接種が基本となります。初回接種後、5年後以降に2回目を接種します。成人用肺炎球菌ワクチンはご予約が必要となりますので、ご希望の方は当院までご連絡ください。
ヒブ感染症とは、「インフルエンザ菌b型」という細菌に感染することで発症する病気です。名前に「インフルエンザ」が含まれていますが、インフルエンザのウイルスとは別ものです。喉から細菌が入り込み、喉頭蓋炎、細菌性髄膜炎、肺炎などを引き起こします。最初は風邪に似た症状が現れますが、その後、痙攣、意識障害などが現れることもあります。小さなお子様がかかると後遺症が残ったり、命を落としたりする危険性があるので、きちんと予防接種を受けさせてあげるようにしてください。
接種部分が赤く腫れたり、しこりになったりする場合があります。
ヒブワクチンは生後2ヶ月目から受けて頂くことができます。初回接種の年齢により、その後の接種回数は異なります。目安は以下の通りです。
生後2~6ヶ月目に初回接種した場合
初回接種後、4週間以上開けて2回目を接種します。再び4週間以上開けて、3回目を接種します。4回目は3回目の接種から7ヶ月以上開け、1歳を過ぎたらすぐに接種します。接種回数は合計4回です。
生後7~11ヶ月目に初回接種した場合
初回接種後、4週間以上開けて2回目を接種します。2回目から7ヶ月以上開けて、3回目を接種します。接種回数は合計3回です。
1~5歳未満に初回接種した場合
初回接種のみとなります。
肺炎球菌が喉などから入り込む感染症です。細菌性髄膜炎、菌血症、肺炎、中耳炎などを引き起こします。最初は風邪に似た症状が現れますが、その後、痙攣、意識障害などが現れることもあります。抗菌薬が効かない耐性菌が多いため、治療が難しいとされており、さらに後遺症率や死亡率はヒブ感染症の倍程度と言われているので、きちんと予防接種を受けさせてあげるようにしてください。
接種したお子様の約10%が、発熱を起こす場合があります。しかし、通常1日程度で収まります。また、接種部分が赤く腫れたり、しこりになったりする場合があります。
小児用肺炎球菌ワクチンは、生後2ヶ月目から受けて頂くことができます。初回接種の年齢により、その後の接種回数は異なります。目安は以下の通りです。細菌性髄膜炎にかかったお子様の半数以上が0歳児ですので、早めに接種されることをおすすめします。
初回接種後、4週間以上開けて2回目を接種します。再び4週間以上開けて、3回目を接種します。4回目は、3回目の接種から60日以上開けた12~15ヶ月目に接種します。接種回数は合計4回です。
生後7〜11ヶ月目に初回接種した場合
初回接種後、4週間以上開けて2回目を接種します。3回目は、2回目の接種から60日以上開けた12~15ヶ月目に接種します。接種回数は合計3回です。
1歳に初回接種した場合
初回接種後、60日以上開けて2回目を接種します。接種回数は合計2回です。
2~5歳に初回接種した場合
HPV(ヒトパピローマウイルス)とは「乳頭腫」とも呼ばれるウイルスで、粘膜に感染するタイプと、皮膚に感染するタイプとに分けられます。このうち粘膜に感染するタイプは、子宮頸がんの大きな原因となります。HPVは性交渉により簡単に感染するため、その前に接種することが推奨されています。毎年3,500人程度の方が亡くなっている病気ですので、予防接種を受けられてきちんと予防するようにしてください。
接種部分に痛みが生じたり、局部反応を起こしたりすることがあります。
HPVワクチンは9歳頃から受けて頂くことができます。ワクチン接種の推奨年齢は11~14歳で、初回接種から約1~2ヶ月開けて2回目を接種します。3回目は、初回接種から約6ヶ月後に接種します。
予防接種の時期と回数 まとめ
予防接種は、生後6ヵ月目以上から13歳未満の小さなお子様の場合、1回の予防接種だけでは十分な免疫ができません。そのため、予防接種は病気の好発年齢に合わせてタイミング良く接種することが大切です。当院では、ワクチンの同時接種により、スケジュール通りに接種できる確率が高まるため、お子様を早期に病気から守ることができるようになります。多様な予防接種を効率良く受けさせて、お子様たちに必要な免疫を着実につけるために、ぜひ予防接種を考えましょう。
病気・予防接種だけではなく子育てのお悩みまでご相談ください
小児科の専門医としてお子様の健やかな成長を第一に考えて治療を行います。病気のことだけでなく、子育てのお悩みにもお応えしますので、何でもお気軽にご相談ください。