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薬剤耐性と耐性菌で磯川医院から
お伝えしたいこと
抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」による感染症が世界中で増加しています。2050年には、薬剤耐性菌による死亡者数が、がん死者数を上回ると予測されるほど深刻な問題となっています。この事態を食い止めるためには、私たち一人ひとりが抗菌薬について正しく理解し、適切に使用することが重要です。
抗菌薬とは
抗菌薬(抗生物質、抗生剤)は、細菌を殺したり増殖を抑えたりする薬です。かつては治療が困難だった結核や肺炎などの感染症を治療できるようになり、医療に革命をもたらしました。しかし、抗菌薬は万能薬ではありません。
重要なポイント
- 抗菌薬は細菌にのみ効果があります。
- ウイルスが原因の風邪やインフルエンザには効きません。
薬剤耐性菌の出現
薬剤耐性菌は、抗菌薬を不適切に使用することで生まれます。
- 不要な抗菌薬の使用(例:ウイルス性感染症に対する処方)
- 処方された抗菌薬の不適切な服用(例:途中で服用をやめる)
薬剤耐性菌が体内に存在すると、本当に抗菌薬が必要な時に効果が得られず、治療が困難になる可能性があります。さらに、薬剤耐性菌は人から人へと感染する可能性もあります。
薬剤耐性のメカニズム
抗菌薬を使用すればするほど、耐性菌が出現する機会が増えます。そのため、本当に必要な時だけ抗菌薬を使用することが重要です。
体内には有益な細菌が多数存在し、健康維持に役立っています。
抗菌薬は有害な細菌だけでなく、有益な細菌も殺してしまいます。
抗菌薬の攻撃に耐えて生き残った強い細菌が増殖します。
これらの細菌が薬剤耐性を獲得し、耐性菌となります。
薬剤耐性の拡大を防ぐ方法
抗菌薬の適切な使用
- 医師の指示通りに服用する
- 処方された量を最後まで飲み切る
- 自己判断で服用を中止しない
感染症予防の徹底
- 手洗い、うがいの励行
- ワクチン接種の実施
- 適切な栄養摂取と休息
正しい知識の普及
- 抗菌薬はウイルス性感染症に効果がないことを理解する
- 不要な抗菌薬の処方を求めない
耐性菌や常在菌のお話