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磯川医院では
適切な抗生剤の使用を心がけております
抗生剤とは
抗生剤(抗生物質)は、細菌を殺すまたはその増殖を抑える薬です。感染症を引き起こす病原微生物には、ウイルス、細菌、真菌などがありますが、抗生剤は主に細菌に対して効果を発揮します。適切に使用すれば、細菌感染症の症状改善や重症化の予防に大きな効果があります。
抗生剤の効果と限界
ウイルス感染症には効果がありません
風邪の約9割はウイルス感染によるものです。抗生剤はウイルスに効果がないため、多くの風邪症状(咳、鼻水、のどの腫れなど)には効きません。また、水ぼうそう、おたふくかぜ、麻疹、ヘルパンギーナ、プール熱、手足口病、ロタウイルス感染症、突発性発疹などのウイルス性疾患にも効果はありません。
多くのウイルス感染症には対症療法が基本
インフルエンザやヘルペスなど一部のウイルスを除き、多くのウイルス感染症は自然治癒を待つしかありません。症状を和らげる対症療法が中心となります。
細菌感染症にのみ効果があります
溶連菌感染症、とびひ、百日咳などの細菌性疾患に効果があります。ただし、扁桃炎、気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎などは、ウイルスが原因の場合も多く、細菌性の場合にのみ抗生剤が効果を発揮します。
抗生剤使用のデメリット
常在菌への影響
人体には約40兆個の常在菌(善玉菌)が存在し、病原菌の繁殖を防いだり、消化吸収を助けたりしています。抗生剤は、病原菌だけでなくこれらの有益な常在菌も殺してしまいます。その結果、下痢などの消化器症状が起こり、他の感染症にかかりやすくなる可能性があります。
耐性菌の増加
抗生剤の過剰使用や不適切な使用は、薬が効きにくい耐性菌を増やします。耐性菌に感染すると、治療が困難になり重症化するリスクが高まります。将来、本当に必要なときに抗生剤が効かなくなる可能性があります。
抗生剤の適切な使用のためのポイント
医師の判断に基づいて使用
症状や検査結果(血液検査、のどや鼻の培養検査、レントゲンなど)から、医師が細菌感染症と判断した場合にのみ処方されます。
処方された分は最後まで服用
症状が改善しても、指示された期間は必ず服用を続けてください。例えば、5日分処方された抗生剤を2日で症状が良くなったからと中止すると、耐性菌を生み出す危険があります。
安易な使用を避ける
「念のため」「とりあえず」といった理由での使用は避けるべきです。不必要な使用は耐性菌の増加につながります。
再受診の重要性
抗生剤を使わずに経過観察する場合、症状が悪化したり長引いたりする場合は再受診することが大切です。これにより、重症化を防ぎ、本当に必要な場合にのみ抗生剤を使用できます。
保護者の皆様へのお願いと当院の方針
抗生剤の使用に関して、保護者の皆様のご理解とご協力が非常に重要です。お子様の健康を守るため、次の点にご留意いただきますようお願いいたします。
抗生剤の処方を急ぐ必要はありません
「念のため」や「安心のため」といった理由での早期使用は、かえって耐性菌を増やすなどのリスクがあります。むしろ、症状の経過を見守り、必要に応じて適切なタイミングで再受診していただくことが大切です。
診察時には医師の説明をよくお聞きください
抗生剤が必要な場合、あるいは不要と判断された場合、その理由をしっかりと理解することが重要です。疑問点があれば、遠慮なくお尋ねください。
お子様の症状や経過について、できるだけくわしく医師にお伝えください
正確な情報が、適切な診断と治療につながります。また、処方されたお薬の内容にも関心を持ち、特に抗生剤が処方された場合は、その必要性について医師とよく話し合うようにしましょう。
当院では、患者様一人ひとりに最適な治療を提供するため、抗生剤の使用については慎重に判断しています
安易な処方は避け、診察や検査の結果、真に必要と判断した場合にのみ、適切な種類・量・期間の抗生剤を処方いたします。特に発熱患者様に対しては、「とりあえず」抗生剤を処方することは原則としておこないません。お子様の健康を守るためには、医療機関と保護者の皆様との信頼関係と協力が不可欠です。ご不明な点や疑問がありましたら、どんなことでも遠慮なく当院までご相談ください。
耐性菌や常在菌のお話